がん漬け

がん漬け

私の幼少期は昭和40年代後半。現在のヒーローものの原型がほぼこの時期に確立されたほど、ヒーローもの全盛期といった時代です。そのヒーローものの敵役で、片方のツメだけとても大きなカニが登場して来たことがありました。何故か鮮烈に記憶に残るその敵役。のちにそれが「シオマネキ」という種類のカニをモチーフにしたものであると知り、子どもながらに自然の生き物は本当に面白く興味深いものであることを胸に刻んだことを今でも覚えています。

今回紹介する「がん漬け」、その「シオマネキ」など佐賀の干潟で採れる小型のカニが原料の漬物です。

カニ味噌っぽいものかしら、それとも塩辛っぽい味?
取り寄せて初めて食べる前に期待と妄想が膨らみます。

思いのほか小さな瓶が届き、はやる心を押さえながら蓋をあけ、ひとすくい小鉢に盛って。さあ、なんのお酒でお出迎えしようかな。
いろいろ考えましたが、ここはやはり淡麗系の日本酒で迎え撃つことに決めました。

箸の先ですくう最小限の雫ほどの分量のがん漬けを、そっっと口へと運びます。

おおー、そう来ましたか。 子供のころに鮮烈に記憶に刻まれた、あの適役の衝撃を越える刺激的な味覚。

しょっぱい!からい!かにのうまみ! これらが同時に脳天を襲います。
箸の先っちょのひとすくいでこの衝撃。なるほど、思いのほか小さな瓶で届いた理由に納得です。
これは食べて頂かないと伝わらない、想像を軽く超えるワールドに誘われます。

一番近いのは塩味をマックス強くしたアンチョビにカニの風味をマックス聞かせた上に唐辛子を加えた感覚でしょうか。うーん、やっぱり説明しきれません。

パスタに入れる?バゲットにのせる?白米のお供か?
いろいろアレンジを考えましたが。私的には敢えてどれも却下です。
小鉢に胡瓜でも一切れ置いて、その上にほんの少しのがん漬けのせて、箸の先で時間を掛けて少しづつ頂く。これが一番の頂き方と思います。
まさにOTSUMAMI直球ド真ん中!

初の挑戦にして、お酒の選択はズバリ的中です。
ビールでもワインでもない。私の好みで言えば、とにかくこれは日本酒です。それも淡い旨口がいちばん似合う。変化球としては、微発泡の軽い甘口の日本酒なんかもいいかもしれません。
箸の先っちょのほんの少しのがん漬けを舌の上にのせるだけで、おちょこ3杯は確実に飲み干して頂ける。そんなインパクトのOTSUMAMIド真ん中のご紹介でした。